【2017年4月】足るを知る

休みにせよ、お金にせよ、ついつい「より多く」を求めてしまいます。同じ資産を持ちながら「これだけしかない」と嘆くか、「これだけある」と感謝するか、心の持ちよう次第
で内面的な心の豊かさが変わります。積極的な考え方を選択する人は、心身の健康を維持しやすく、外面的な豊かさも結果的に獲得しやすいのではないかと思います。

私は、仕事で逃げ出したいような気分になる時、東日本大震災直後に毎週末ボランティア活動に通っていた宮城県・七ヶ浜町でお会いした方々のことを思い出します。船も家も家
族も失われた方が、「命だけは助かって良かった」と言い、「自分よりもっと大変な方がいるから」と別の被災者のボランティアに駆けつけられていました。当時、避難所で共同
生活を営み、お風呂にさえ入れない状況にありながら、失ったものに目を向けるよりも、在るものに感謝して逞しく行動される人の姿を見て、「人は何と強く・高貴に生きられる
ものか」と深く感銘を受けました。

一方で歴史を振り返って、様々のハイテク機器に囲まれて生活の便利さは格段に良くなっても、心の豊かさが伴わないと人が自ら作り出す様々な悩みの種はいつの時代もなくなり
ません。
海・山・川・大地・動植物のすべての自然環境が、悠久の時を経て環境に適応した変化を続けています。たとえば飛行機の機体のように、調和の取れた美しいデザインは同時に機
能性にも優れているとされますが、調和のとれた状態を人は健全で美しいと感じます。
「より多く」を求める煩悩に悩まされる時、一つの指針は時間や距離を超えて「調和のとれた美しいものに向かっているかどうか」を評価することではないかと思っています。