ショコタは昨年12月に知人宅で生まれ、3月にコロコロと丸く愛らしい命を預かりました。子供たちや私にとっては犬を飼うのは初めてのことで接し方も躾け方もわからず、初めの頃は同じ布団に入れて寝るほどの猫っ可愛がりぶり(?)でした。 最近は畑に行くときはいつもショコタも一緒に連れて行っていました。畑作業の後はいつも海に行くのですが、人に向かって吠えたり噛み付いたりすることなく嬉しそうに飛び跳ねているので、海ではいつも子供たちや観光客の方たちの人気者でした。 そのショコタが先日畑で迷子になり、毎日探し回りましたが行き違いになって見つけ当てることができず、本当に悲しいことですが、迷子になって4日後に既に息を引き取ったショコタを畑で発見しました。
野犬と戦ったような外傷は見当たらず、推定ではありますが、殺鼠剤(野ネズミからサトウキビを守るために使われる餌に見立てた毒=野ネズミ用の殺虫剤)を食べたか、あるいは殺鼠剤を食べたねずみを食べて、薬物症状で死んでしまったようでした。10メートルも離れないすぐ近くにねずみの死骸も見つけました。 毒による症状の即効性や強さは、昨年うちのネコが経験して知っています。以下、らくなちゅらる通信vol.89からの引用です。
(引用開始)
こんにちは、松本です。今日のテーマは野菜観察です。これまで農業経験のない私には、農場で見るもの・教えて頂くこと、色んなことが新鮮な学びです
前日の晩まで元気に走り回っていたのですが、朝10時ぐらいに布団の上で嘔吐しているのを見つけました。『あれ、おかしいな』と思って抱き上げると、力が出ない様子でぐったり気味。その後、嘔吐を繰り返し、15分も経たない間に、自力で歩けないまでに症状は急変しました。慌てて動物病院に電話をかけて様子を伝えると、『典型的な薬物症状のようです。すぐに連れてきて下さい』といわれ、病院へ急ぎました。道中、声をかけながら体をさすっていましたが、体温が次第に下がっていく様子がわずか15分の道中で感じられるのは、とても心配でした。血液検査など含めて診ていただいた結果、薬物中毒であることが診断され、入院が決まりました。点滴治療も受けましたが、入院初日から翌日にかけては、更に体温が下がり、嘔吐を続け、首を持ち上げることもできない状態になってしまいました。入院3日目になってようやく、面会に行った子供たちと私に対して首を持ち上げてニャアと答えることができるまでに回復しました。入院から4日目にして退院しましたが、家の中を走り回るまでに全快するには1週間以上かかりました。 『回復して本当に良かった』と思う気持ちと同時に、私たちが進める無農薬栽培の意味を改めて実感しました。 (人間の場合は、さまざまな解毒機能なども働くのでしょうが)基本的には被害程度は致死量に対しての毒物量の大小の問題だけであって、薬物自体の毒性がなくなる訳ではありません。特定の動物のみに効くような便利なものでもありません。『毒は毒である』ことを直視させられました。公には『ネズミは死に至らしめるが、ネコやイヌには影響なし』とされていますが、『実際にはそんなことはない、ネコや犬がおかしくなった』という噂は聞いていました。今回お世話になった獣医さんも『(殺鼠剤が空中散布される)この時期、同じ症状のネコが運び込まれ、亡くなるケースは多いです』と仰っていました。実はうちのネコも相当心配な状態だったようで、帰り際に『ネコちゃんの生命力が強くって良かったですね』と言われました。
(引用終わり)

ショコタを探しに何度も何度も畑に行って声をかけていましたが、今考えてみると、走って駆け寄れないどころか、声も出せないぐらいに苦しんでいたのかもしれません。畑で自由に走り回るのを良いことだと思って放していましたが、結果的にまったく無責任だったことに気づき、物申せなくなってしまったショコタに本当に申し訳なく思っています。
私的な出来事と事業活動を直結させる訳ではありませんが、私たち有機栽培農家は殺鼠剤を使いません。飲料水を地下水に依存する宮古島では特に、水溶性の薬物や肥料への配慮も必要です。これからも環境保全型農業を実践してまいります。御嶽(うたき:神様が住む場所)から天国から見守っていてくださいね。